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2023.03.31

  • 右脳で考える高分子化学

Vol.00 シュタウディンガー

右脳で考える高分子化学

皆さまが一日過ごされて「プラスチック」を一切見ない日はないでしょう。
他の材料に比べて圧倒的に便利なプラスチック。軽い、絶縁性、機械的強度、そして成型しやすいなどそのユニークな性質は数え切れません。
プラスチックは「高分子化学」の進歩とともに発展しました。この度この「高分子化学」について、右脳を使って直感的に理解いただけるシリーズをスタートさせますのでぜひご活用ください。毎回のエピソードはより深い理解を求める方への取っ掛かりにもなります。高分子化学講座のゼミ学生とともに「高分子化学」の大枠をとらえましょう。

今回は初回、番外編です。高分子化学を理解する前に絶対に押さえておきたい人物をご紹介します。

「高分子化学」の世界にようこそ

  • 身のまわりのプラスチックってどんなものがありますか?

  • ペットボトルでしょ。あとフライパンのフッ素コーティング、食品包装、消しゴム、電化製品、発泡スチロール、スマホ、人工芝、スキーの板、水道管、コンタクトレンズ、点滴バッグ、紙おむつ、自動車、飛行機、ビニールハウス、水族館の巨大水槽、あとは、えーと…

  • そ、それくらいで。詳しいですね。ではそれらはどんな分子構造をしていますか?

  • 炭素が鎖のように長くつながった分子でしょ。高分子。常識です。

  • 正解です。その常識の高分子ですが、昔からの常識と思われがちですが、実は正体がわかったのはおよそ100年前です。1920年、ドイツのシュタウディンガー博士が 『Über Polymerisation』 という論文で高分子説を提唱しました。

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  • 意外と最近なんだ。じゃあそれ以前はみんな高分子をどう思っていたんですか?

  • 低分子です。

  • えーーー。

  • 高分子というのが想像できず、低分子が会合したもの(ミセル)と考えていました。当時博士の高分子説は誰も信じませんでしたが、博士はおよそ10年間の研究を通して高分子の存在を証明しました。1953年にノーベル化学賞を受賞しています。

  • すごい発想力と執念ですねー。どうやって思いついたんですか?

  • おそらくですが、1858年同じくドイツの天才化学者ケクレが、炭素は4価の原子(結合する手が4本)であることを発表し、有機合成化学がスタート、炭素と炭素が鎖状につながる可能性を示したのがベースとなっています。

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  • なるほど。私も教授のご指導をベースにノーベル化学賞を目指しますねー。

  • 楽しみにしています。

まとめ

高分子化学の研究はまだ始まったばかりといえます。「何かべとっとしているもの」という程度だった当時の化学者たちの認識をがらりと変えたミスター高分子化学、シュタウディンガーの名前は押さえておきましょう。

欧州ではプラスチックは大量生産大量消費時代から、循環させて原則廃棄物を出さないサーキュラー・エコノミー(CE)へ進み始めました。政策実現には今後も高分子化学の研究は欠かせません。

四国化工も
共押出多層フィルムメーカーとして高分子化学の研究に力を入れて参ります。