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2023.07.11

  • 共押出多層フィルム製造現場

Vol.01 配属初日 押出成型とは

密着24時!共押出多層フィルム製造現場 

20世紀最大の発明品の1つ、「プラスチック」。このプラスチックについて「高分子化学」を切り口に理解するコラム、「右脳で考える高分子化学」をスタートさせて3ヵ月経ちました。プラスチックは、高分子化学の進歩だけではなくプラスチック成型技術の進歩がかけ合わさることで驚くべき発展を遂げました。この度成型技術の中で、弊社の基幹となる技術の「共押出多層フィルム成型」についても理解を深めたいという多くの声をいただき、新シリーズをスタートさせます。さて、第1回目、生まれも育ちも香川県東かがわ市の優しい現場リーダーが20年の経験を基に指導してくれます。共押出多層フィルムのイロハを、配属された新入社員と共に学んでいきましょう。

押出成形工場へようこそ

  • 本日から製造課に配属されました新人です、これからよろしくお願いいたします。

  • はい、こちらこそよろしくお願いします。ここは共押出多層フィルムを作る工場で、24時間機械が稼働しています。8時間✖3交代勤務。8時間は長かったですか?まずは交代勤務に身体を慣らしていってください。

  • 正直あっという間の8時間でした。工場はなぜ、24時間稼働させ続けるのでしょうか?

  • 押出成形はプラスチック原料を、溶かし→押出し→冷やして固める、といった一連の工程で成り立っています。いったん機械を止めると再度立ち上げる時に、たくさんのロスが出てしまうから、できるだけ止めずに稼働させ続けるのです。

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  • 原料を大切に使うからこそ、24時間稼働させ続けるのですね。

  • しかも共押出と言って、一度に複数のプラスチック原料を重なった状態で成形するちょっと珍しい製法なのです。

  • えっ、あの金型の中でフィルムが重なっているのですか?

  • 周りに5つあるのが押出機と呼ばれるものです、それぞれに特徴ある原料を投入して、それが中央の金型の中で重なっていきます。出てきた時点でもう多層のフィルムになっています。

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  • すごく複雑な機構になっていそうですね。

  • 一般的な多層フィルムの作り方に、ラミネートと呼ばれる製法があります。これは簡単に言うと、ABという2枚のフィルムをのりで貼り付けて、2層のフィルムにする方法です。3層なら2工程、4層なら3工程が必要になります。

  • 共押出よりも手間がかかりそうですね。

  • 生産スピードや、フィルムの幅にもよるので、一概にどちらが効率的とは断言できませんが、いっぺんに多層フィルムが作られる共押出も面白いですよね。

  • 他にはどんな違いがあるのですか?

  • 共押出の中にはチューブ状とシート状で作るものがあります。そのなかでもチューブ状のものは内部のクリーン性に優れる特徴があります

  • どうしてチューブだとクリーン性に優れるのでしょうか?

  • 金型から出てきた時点から、お客様がお使いになるまで、チューブ内面が外気に触れないからです。そのまま販売すればもちろん、袋を作る際にも最初からチューブ状ですから、シールをしてカットすればもう袋が出来上がるのです。

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  • あっ、本当だ!異物が内面に混入できない!これは製法ならではの特長ですね。明日からそういった視点でも現場を見てみます。

  • 興味を持ってくれれば理解が早まると思うので、色々と考えながら観察してみて下さい。ただし工場は安全第一です。目の前と周囲の安全確認が第一ですよ。

新人研修レポート

押出成形とはプラスチック成型方法のひとつで、溶かしたプラスチック原料を連続的に金型に入れて押出すことで同じ断面の成型品をつくる成型方法。パイプやコの字をしたサッシの枠などがあげられるが、四国化工の共押出多層フィルムもこの成型方法で作られる。

機械を停止するとプラスチックが固まるのでできるだけ連続運転するのが鉄則。

共押出とは、2つ以上のプラスチック原料を金型に入れて押出して多層フィルムをつくる成型方法。 多層フィルムの成型方法は、基材と基材をのりで貼り合わせるラミネートと共押出があるが、チューブ状に押出す共押出(共押出インフレーション成型法)は、ラミネートに比べて内面のクリーン性に優れ、食品容器包装をはじめ、内容物が体内に入る医療用輸液バッグや精密機器包装他様々な分野で使用されている。