お問い合わせ

 

2023.09.05

  • 共押出多層フィルム製造現場

Vol.02 共押出の基礎 冷却の違いでなにが変わる?(ゆっくり解説動画有)

密着24時!共押出多層フィルム製造現場

さて、第2回目、生まれも育ちも香川県東かがわ市の優しい現場リーダーが20年の経験を基に指導してくれます。今回は共押出多層フィルムの冷却方法について、配属された新入社員と共に学んでいきましょう。

共押出の冷却方法

  • お疲れ様です。日頃共押出多層フィルムを見ていて何か疑問などありませんか?

  • そういえば、この部署ではフィルムを水で冷やして固めていますが、他の部署では水を使わない製法もあるそうですね、どのように冷やしているのでしょうか?

  • 四国化工の共押出インフレーションには下吹き水冷法と、上吹き空冷法があります。つまり空気で冷やす製法です。

    イラストA.png

  • 冷やす方法が変わるとフィルムはどう違うのでしょうか?

  • 違いはいくつかありますが、まずはフィルムの透明性。水は透明だけど牛乳は白いですね。牛乳は水に油の粒が分散していて、光が乱反射して通りにくくなるからです。プラスチックも同じで、中に粒が混ざっていると白っぽくなります。この原因がプラスチックの結晶化です。結晶化が進むほど大きな粒ができて白っぽくなり、逆に結晶化を抑制すると透明になります。

  • 結晶化の程度は何で変わるのでしょうか?

  • それは、ずばり温度です、プラスチックには結晶化しやすい温度領域があって、その領域に長く留まると結晶化がすすむので白っぽくなり、逆に急冷してその領域を一気にすり抜ければ結晶化がすすむ前に固まり、透明になります。

    イラストBC.png

  • Aの水色のゾーンにどれだけ留まっているかによって違いが生まれるのですね。水冷は一気に冷やせるから透明で、空冷は徐々に冷やされるので大きな結晶ができて不透明な仕上がりになるのですね。

  • そうです。また大きな結晶があると表面がデコボコして袋が開きやすくなるのですが、透明だと表面が平滑で袋の口開きが悪くなるのです。そこで水冷法は添加剤等を併用して口開きを良くする工夫もなされています。

  • 確かに、たまに口の開きにくい袋ってありますね。

  • 添加剤が嫌われる電子分野などでは、添加剤に頼らずに空冷という製法を以て口開きよい、且つ低分子量成分の少ないフィルムを提供する事も出来ます。

    イラストDE.PNG

  • 要求機能や用途によって、製法を変えているということですね。

  • 水を用いることで、早く冷え、設備サイズをコンパクトにできる利点がある一方、水質を管理するのが難しいので、クリーン性が求められる場合には空冷を用いるなど、理由は色々とあるのですが、まずはお客様の求める機能を優先しているという理解で間違いありませんよ。

  • ありがとうございました、自分も冷静さを持って作業に取り組むようにします。

  • ただ、熱意だけは持ち続けて下さいね、明日からも頑張りましょう。

― 今日の研修レポート ー

プラスチックは、溶かして冷やし固めるときの温度や時間によって、結晶化度が変化する。

急激な冷却では結晶化が進行せず、靭性に富み伸びも生まれ、透明性に優れる。

徐々に冷却すると結晶化が進行し、強度が増し表面が荒れて滑り性が生まれる。

急冷の手段としては水を、徐冷の手段としては空気を選択することが主流。