2025.03.20
- 未来へのバトン
Vol.10 国際女性デーがつなぐジェンダー平等の未来
未来へのバトン

1. 国際女性デーとは? ー 歴史と意義
毎年3月8日は「国際女性デー」として世界中でジェンダー平等を訴える日とされています。この日は、1908年にアメリカの女性労働者が劣悪な労働環境に抗議したデモに端を発し、国際的な女性の権利向上の動きが広がったことに由来します。1975年に国連が正式に「国際女性デー」として定めて以降、各国でさまざまなイベントや啓発活動が行われるようになりました。(国連(2025)「International Women's Day」より)
日本においても、ジェンダー平等は、持続可能(サステナブル)な社会の実現に向けた重要な課題です。近年では、企業における女性活躍推進が進められ、管理職の女性比率向上や育児休業の取得促進などの取り組みが広がっています。しかし、本来目指すべきなのは「女性の活躍」だけではなく、性別にとらわれず、一人ひとりが能力を最大限に発揮できる社会の実現です。その道のりは決して平坦ではありませんが、最終的に求められるのは性別を超えた「個人としての活躍」を支える仕組みと環境です。
国際女性デーは黄色い花を咲かせる「ミモザ」の日とも呼ばれます。
2. データで見るジェンダー平等の現状
世界経済フォーラム(WEF)が発表する「ジェンダーギャップ指数2024」では、日本は146カ国中118位となり、前年より順位を上げましたが、依然として低い水準にあります。(世界経済フォーラム(2024)『Global Gender Gap Report 2024』)より)特に、経済分野や政治分野での男女格差が大きな課題とされています。一方、北欧諸国はジェンダー平等の先進地域として上位を維持し、政策や企業文化の違いが明確に現れています。
日本国内のデータを見ると、課長級における女性の割合は2022年時点で13.9%と、諸外国と比較して低い水準にとどまっています。( 内閣府 男女共同参画白書 令和5年版より)
3.職場のジェンダー平等はなぜ重要か
職場におけるジェンダー平等の実現は、単なる社会的責任にとどまらず、企業の持続可能な成長にも直結します。多様な視点を持つことで、意思決定の質が向上し、イノベーションが生まれやすくなるためです。
例えば、ダイバーシティ推進に積極的な企業では、女性役員の増加によって収益性が向上した事例も報告されています。また、ジェンダー平等が進むことで、企業のブランドイメージが向上し、優秀な人材の確保につながるというメリットもあります。
しかし、実際には多くの企業が「ジェンダー平等を推進する意義は理解しているが、具体的な施策に踏み込めていない」という現状にあります。こうした課題を克服するためには、経営層の意識改革と、社内制度の整備が不可欠です。
4.中小企業として出来ること
ジェンダー平等の実現は、大企業だけでなく中小企業にとっても重要な課題です。当社のような中小企業でもできることは必ずあります。
まず、ロールモデルの育成が不可欠です。女性管理職が少ない現状を変えるには、今いる女性社員がキャリアを描けるような支援が必要です。たとえば、社内外のメンター制度を活用し、経験豊富な管理職と若手社員がつながる機会を作ることで、目標となる人物像を示すことができます。
また、育児休業制度の整備も大きなポイントです。
2025年4月には育児・介護休業法の改正が予定されており、男女を問わず育休取得をしやすくする施策が進められます(厚生労働省, 2024)。当社でも、この制度を活用し、性別を問わず育児と仕事を両立しやすい環境を整えていく必要があります。
さらに、企業文化の醸成も重要です。「性別に関係なく評価される職場」となるためには、DX化を積極的に推進し、製造=力仕事という構図を払拭し、製造業内に女性の働きやすい環境づくりが求められます。私たち中小企業は、大企業ほどの資源はないかもしれませんが、柔軟な組織風土を活かし、実効性の高い施策を迅速に導入できる強みがあります。
四国化工での取り組みご紹介
■女性活躍推進
・RPA推進(DX推進プロジェクトの一環)、BCP推進、サステナビリティ推進の先導者として女性リーダーによる全社的な推進を行っています。
・育児休暇制度として昨年初めて男性による取得実績が出来、今後の推進につなげて参ります。
5. 未来への挑戦 ー あきらめずに進むために
ジェンダー平等の実現は、一朝一夕で達成できるものではありません。道のりは険しく、すぐに成果が出ないこともあるでしょう。それでも、あきらめずに取り組み続けることが重要です。
企業としては、まず「何ができるか」を見極め、一つひとつ着実に実行することが大切です。ジェンダー平等は、企業のサステナビリティ戦略の一環として取り組むべき課題でもあります。大きな変革を求めるのではなく、小さな変化を積み重ねることで、着実に前進できます。
また、個人としても、サステナビリティの観点からも、「ジェンダー平等」を他人事ではなく、自分自身の働き方や考え方として捉えることが求められます。固定観念にとらわれず、多様な働き方を尊重し、互いに支え合う職場を作ることが、最終的に企業の成長にもつながります。
国際女性デーは、私たち自身の働き方や職場環境を見つめ直し、一歩踏み出す機会です。日々の小さな選択や行動が、ジェンダー平等を推進し、より良い未来をつくる力になるのではないでしょうか。
出典情報
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国連(2025)「International Women's Day」
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世界経済フォーラム(2024)「Global Gender Gap Report 2024」
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内閣府「男女共同参画白書 令和5年度版」
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厚生労働省(2024)「育児・介護休業法の改正について」
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写真は当社の敷地の一角で育てているミニ農園で収穫されたサツマイモです。(2024年11月に収穫)
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