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2025.09.29

  • ようこそ、機能性フィルムの世界へ!

Vol.01 機能性フィルム 帯電防止フィルムとは?(ゆっくり解説動画有)

ようこそ、機能性フィルムの世界へ!

さて、第1回目を迎えた新シリーズ。【ようこそ、機能性フィルムの世界へ!】の中では
勤続20年の営業部門マネージャーが、各種機能をわかりやすく説明してくれます。
配属されたばかりの、新入社員の中野君と一緒に学んでいきましょう。

帯電防止機能

  • はぁ〜……どうしよう……。このホコリの問題、どう提案したらいいんだ……

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  • 中野くん、どうしたの? そんなに難しい顔して。

  • あ、白石マネージャー! 実は、先ほど訪問したお客様のことで悩んでまして。

  • お客様? 新規の?

  • はい。電子部品を製造されている会社様なんですが、製品を包装するフィルムにホコリが付着してしまって、クレームの原因になっているそうなんです。「このホコリ、どうにかならないか」と相談されたんですが、どう提案すればいいのか……。

  • なるほどね。それは「静電気」が原因の典型的なお悩みよ。
    大丈夫、ちゃんと解決策はあるわ。

  • 静電気、ですか? 冬にドアノブでバチッてなる、あれですよね?

  • そう、あれよ。フィルムが何かと擦れると静電気が発生するの。静電気を帯びたフィルムは、空気中のホコリやチリを磁石のように引き寄せてしまう。だから、いくら工場内をクリーンに保っていても、製品にホコリが付着しちゃうのよ。

  • なるほど! だからフィルムだけにホコリが……

  • 原因がわかれば、対策は立てやすいわ。こういう時に活躍するのが【帯電防止機能】を持ったフィルムよ。

  • 帯電防止フィルム! カタログにありましたね! でも、どうして静電気を防げるんですか?

  • いい質問ね。お客様の状況に合わせて最適な提案ができるように、しっかり理解しておきましょう。帯電防止フィルムには、大きく分けて2つのタイプがあるの。

  • 2つのタイプ、ですか。

  • ええ。まず一つ目は「界面活性剤タイプ」。これは、フィルムの原料に「界面活性剤」という薬剤を混ぜ込んだり、フィルムの表面に塗ったりしたものなの。

  • カイメンカッセイザイ……

  • 簡単に言うと、「電気の通り道」を作る成分よ。この界面活性剤がフィルムの表面に少しずつ染み出してきて(これをブリードアウトって言うわ)、空気中の水分を吸着するの。その水分が電気を外に逃がす役割を果たして、静電気の発生を抑えるってわけ。

  • へぇー! フィルムの表面に、目に見えない水の膜を作って電気を逃がすイメージですか?

  • まさにその通り! 理解が早いわね。このタイプは、比較的安価に作れるのが大きなメリットなの。

  • じゃあ、それで決まりですね! 早速このタイプをお客様に……

  • まあ、待って。このタイプにもいくつか注意点があるの。界面活性剤は時間とともに表面から少しずつ減っていくことがあるから、使用環境や保管期間によっては帯電防止効果が弱まる場合があるのよ。それと、表面に出てきた成分がごくまれに製品へ影響する可能性もあるから、特に精密機器や電子部品のように、成分付着にシビアなお客様には慎重な選定が必要ね。
    でも、コスト面に優れていて、湿度のある環境ならしっかり効果を発揮してくれるから、日用品や一般雑貨などの包装にはむしろ最適な選択肢とも言えるわ。

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  • そ、そうなんですか! 危ないところでした……。
    お客様は精密な電子部品を扱っているから、フィルムからの成分付着は絶対に避けたいはずです。

  • そういう場合に登場するのが、もう一つのタイプ。「高分子型帯電防止タイプ」よ。

  • 高分子型……

  • これは、フィルムの樹脂そのものに電気を通す性質を持たせた、いわば「フィルム自体が電気の通り道」になっているタイプなの。

  • フィルム自体が、ですか!

  • そう。だから、薬剤が表面に染み出すこともないし、時間が経っても効果が落ちにくい。効果が半永久的に持続すると言ってもいいわね。それに、空気中の水分に頼らないから、湿度が低い乾燥した環境でも安定した帯電防止性能を発揮できるの。

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  • なるほど! それなら、お客様の精密な電子部品にも安心して使えますね! デメリットはあるんですか?

  • 鋭いわね。やはり、高機能な分、界面活性剤タイプに比べるとコストは高くなる傾向があるわね。

  • うーん……

  • さて、中野くん。今回のお客様には、どちらのタイプを提案するのがベストだと思う?

  • はい! お客様が包装するのは、ホコリの付着を嫌う精密な電子部品です。それに、製品の品質を何よりも重視されています。だから、コストは少し高くても、ブリードアウトによる汚染の心配がなく、効果が長持ちする「高分子型帯電防止フィルム」を提案すべきだと思います!

  • 正解よ。素晴らしいわ。お客様の課題の本質は「ホコリの付着を防ぐこと」だけど、その背景には「製品の品質を担保したい」という強い想いがある。そこまで汲み取って、最適な機能を提案するのが私たちの仕事よ。

  • ありがとうございます! なんだか、目の前の霧が晴れたようです。
    静電気の仕組みから理解できたので、お客様への説明も自信を持ってできそうです。

  • その意気よ。頑張ってね。

  • はい! まずはこの高分子型帯電防止フィルムのサンプルを持って、お客様の悩みを解決してきます!行ってまいります!

  • …その前に中野くん、服にホコリついてるわよ? まずは自分の静電気対策からね。

― 今日の研修レポート ー

◇フィルムにホコリが付着する原因は「静電気」であり、空気中のチリを引き寄せてしまう。

◇静電気対策には帯電防止フィルムが有効で、主に「界面活性剤タイプ」と「高分子型タイプ」がある。

◇界面活性剤タイプは安価で日用品向きだが、成分が表面に出て効果が低下したり、製品へ影響する可能性がある。

◇高分子型タイプはコストが高めだが、効果が長期持続し、精密電子部品など品質重視の用途に向く。

◇提案では「お客様の課題の本質」を踏まえ、最適な機能を選ぶ姿勢が重要。

 

●関連リンク
帯電防止フィルム FX (界面活性剤タイプ)

帯電防止フィルム HA-V (高分子型タイプ)

 

※本コラムに掲載しているイラストの一部はAIを用いて作成しています。