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2025.09.05

  • 実践!フィルム編

Vol.04 食品包装フィルムとは?(ゆっくり解説動画有)

右脳で考える「高分子化学」

朝、パンやおにぎりを手に取り、夜、スーパーで買った野菜や肉を冷蔵庫にしまう。その間、食品包装フィルムを目にしない日はほとんどありません。一方で石油製品だからなのか「食品包装フィルムは本当に必要なの?」、そんな疑問を耳にすることがあります。しかし食品包装フィルムは、現代の食生活を支える「社会インフラ」です。食品包装フィルムの役割についての大枠を高分子化学のゼミ学生とともに理解しましょう。

食品包装フィルムって必要ですか?

  • =葉っぱ/竹の皮からプラスチックフィルムへ=
    今年の夏、友達と奈良に旅行に行って、はじめて柿の葉寿司を食べたんですよ。サバの押し寿司、おいしかったー。柿の葉っぱも食べるところだったんですがお店のひとが、「剥いて食べてくださいね。」と言いに来てくれたんです。なんで柿の葉で包むんですか?剥がすならそのままでもいいような・・・。イラスト1.png

  • 柿の葉で包む一番の理由は、地域の文化や歴史を大切にしているからです。昔は木の葉や竹の皮が食品の包装材料として使われていました。奈良は柿の名産地。柿の葉が豊富に採れたので食品容器に活用したわけです。さらに柿の葉には抗菌・抗酸化成分が含まれていてお寿司を劣化から守り、香りがお寿司に移って風味がよくなります。何より見た目がユニークです。

  • =食品包装プラスチックフィルムはなぜ必要か=
    映えますよねー。そういえば明治時代の大河ドラマとかの旅人は竹の皮で包んだおむすびとか食べてますよね。天然素材の方が環境に良さそうなのにどうしてプラスチックを使うんですか?

  • 天然素材だけで現代の食料供給をまかなうのは難しいんです。食品をプラスチックフィルムで包装するようになったのは食品包装フィルムが時代のニーズに合わせて様々な面で進化し、多機能化したからです。素材単体ではなく、総合的な機能で評価する必要があります。

  • どんなメリットがあるんですか?

  • =食料供給の安定化=
    最も重要なのは食料の安定供給です。人間は栄養のある食料をできるだけ長い期間食べられるようにチーズやみそ、しょうゆ、ビーフジャーキーのような食品の「発酵」や「乾燥」、また缶詰・瓶詰のように容器に詰めた後「殺菌」するなど、いろいろな「保存技術」を磨いてきました。食品包装フィルムはその「保存技術」を飛躍的に進歩させ、必要な分だけ栄養バランスのとれた食品を届けられるようになりました。なくなることは電気や水道なしで生活するくらい非現実的です。
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  • 確かにそうですね。スーパーの食品はほぼ包装されてますね。もはや中身と包装がワンセットという感覚で、逆にないとどうやって生活するのか想像できませんね。

  • =省エネルギーと資源効率=
    次は省エネルギー。 確かに食品包装フィルムは石油資源を使ってつくりますが、一方で軽量・柔軟です。
    容器重量の比較(200gの食品を包装する場合):
     ・ガラス瓶  約300g
     ・アルミ缶  約15g
     ・プラスチックフィルム 約8g
    容器が軽いほど輸送時のエネルギー消費やCO₂排出量を減らせます。さらに真空包装など食品の形状に合わせて包装できるため食品ロス削減と省スペース化につながります。結果としてトータルの資源使用量を圧倒的に減らせます。脱プラ=「原油の節約」ではありません。日本の原油使用量の97%は発電や燃料に使用されています。残りの3%の一部に過ぎないプラスチックが、食品包装に限らずあらゆる分野で発電や燃料を節約し、トータルの原油使用量を減らしています。

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  • 逆に食品包装フィルムを使うことで石油資源を節約できるんですね。

  • =循環型社会への貢献=
    環境省では現代の大量生産・大量廃棄の問題を受けて、食品包装における3R+Renewable(再生可能資源)を推進しています。食品包装材料の中でプラスチックの占める割合は6割ともいわれておりその役割もますます重要になってきます。今後はリサイクル技術の革新やバイオマスの利用などがカギとなってきます。

  • 地味そうだけど食品包装フィルムってすごい!柿の葉って、包む人の想いや温かみが感じられる素材ですよね。でも、食品包装フィルムも同じように、人の暮らしや食べ物を守る温かみがあることが解りました。あっ、そうだ!今日はかしわ餅食べよっ。

(まとめ)

・食品包装プラスチックフィルムは、現代の食生活に不可欠な「社会インフラ」です。天然素材の包装文化から発展し、高分子化学の進歩とともに保存性能や衛生性、輸送効率を飛躍的に向上させてきました。

発酵・乾燥・殺菌などと並び、食品包装フィルムは長期保存と必要量供給を可能にし、栄養バランスの確保と食品ロス削減に寄与しています。

・軽量性による省エネルギー・資源効率の高さ
同じ200gの食品包装で、ガラス瓶約300g、アルミ缶約15gに対し、フィルムはわずか約8g。輸送時のエネルギー消費・CO排出削減、保管スペース節約に効果的です。

3RRenewableの推進において、全食品包装の約6割を占めるプラスチックフィルムは、リサイクル技術革新やバイオマス利用の拡大でさらに持続可能性を高められます。

こうした特長を活かしながら、より環境に優しい食品包装の未来をつくることが求められています。四国化工は食品用共押出多層フィルムのリーディングカンパニーとして、オリジナル機能性プラスチックフィルムを開発してきました。

 

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