2025.10.23
- 未来へのバトン
Vol.12 共押出多層フィルムとラミネートフィルムのCO2排出量の違いとは?(ゆっくり解説動画有)
未来へのバトン
1.くらしを支える多様なフィルム
私たちの身のまわりには、実にさまざまなフィルムが使われています。食品を守るもの、医薬品を保護するもの、見た目の美しさを演出するもの...。
用途に応じて最適な製品が選ばれているのは、フィルムの製造方法そのものが多様だからです。
今回は、代表的な2つの製法「共押出多層フィルム」と「ラミネートフィルム」の違いに触れながら、"みんなちがってみんないい"という視点で、環境面の取り組みについてもご紹介します。
2.それぞれの製法と個性
ラミネートフィルムは、複数のフィルムを貼り合わせることで、強度やバリア性を自在に組み合わせられるのが最大の強みです。酸素バリア性、防湿性、耐熱性、強度など、求められる機能をオーダーメイド感覚で組み合わせることが特殊な機能を持たせやすいフィルムであり、また、グラビア印刷や多色印刷の適性に優れており、写真のような美しい発色や複雑なデザインを可能にします。商品の棚での存在感を際立たせ、ブランドの価値や魅力を消費者へ強力にアピールする上で、欠かせない役割を果たします。このようにラミネートフィルムは複雑な機能やデザインが求められる少量多品種の製品から、見栄えが重要な商品の大量生産まで食品や医薬品、工業用と幅広く使われています。
一方で、共押出多層フィルムは、一度の押出成形で多層構造を作る製法です。この製法は、製造プロセスがシンプルで安定しており、大量生産の際のコスト効率に優れるという利点があります。 共押出多層フィルムの特長は多岐にわたります。 まず、樹脂の種類や特定の層の厚みを自由に設計できるため、機能性の調整が容易です。さらに、有機溶剤を使用しないため残留溶剤の心配がなく、接着剤による層間剥離(デラミ)が発生しないという、品質の安定性に優れています。また、無延伸のため、やわらかくしなやかで、袋に加工した際の折れジワや、ダンボールなどとの摩擦によるピンホールの発生を抑えることができます。
そして何より、シンプルな工程で完成する省エネ製法であり、CO₂排出量が少ないという環境面での特長があります。わたしたち四国化工で製造している商品もこちらに属します。
つまり、どちらも「できること」が違うからこそ、世の中で必要とされているのです。

3.データで見る環境への違い
実際に、当社で製造している共押出多層フィルム「商品B」と他社ラミネートフィルムを対象にCO₂排出量を算定してみました。
算定工程:原料調達(原料生産、原料輸送)から生産まで 参照データ:AIST-IDEA ver.3.5.1、樹脂加工におけるインベントリデータ調査報告書(第3版)
| ラミネート加工 |
※ラミネート方式は「フィルム製造+貼り合わせ+乾燥」の複数工程 |
|
共押出 多層フィルム製造 |
※共押出方式は「一度の押出」で完成 |
その結果、共押出多層フィルムの方が約46%CO₂排出量が少ないというデータが得られました。(当社調べ/原料調達から生産までのCO2排出量)
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この数字は、製造する量が大きくなるほど積み重なり、環境負荷削減の効果も大きくなります。
ラミネートフィルムはその製法より工程が多く、その分エネルギー消費が高い傾向にありますが、その一方で、ラミネートフィルムならではの「高機能性」「美麗な印刷」「特殊用途対応」も欠かせません。
4.まとめ
ラミネートフィルムは、「最高水準の複合機能とカスタマイズ性による商品の安全とブランド価値の最大化」を支える絶対的な技術です。一方、共押出フィルムは、工数が少なくシンプルなプロセスを活かし、「コスト効率」「リサイクル適性の向上」といったメリットに加え、エネルギー消費が抑えられることによる「CO₂排出量の削減」という環境への貢献において優位性を発揮します。 この活動は、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」にもつながっています。
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最後に ~ ちがいを活かし、未来へ ~
「みんなちがってみんないい」。
ラミネートフィルムも共押出多層フィルムも、それぞれの得意分野を持ち、私たちの暮らしを支えています。
その中で共押出フィルムは、環境にやさしい選択肢として一歩抜きん出た強みを持っています。
大切なのはどちらかを否定することではなく、お客様の用途や社会のニーズに合わせて、最適なフィルムを選ぶことです。
私たち四国化工はこれからも、環境負荷の低減とお客様の満足を両立できる製品づくりを進め、サステナブルな未来に貢献していきます。
●関連リンク
共押出多層フィルムとラミネートフィルムの違いとは?(CO2排出量以外の違い)
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地球にやさしいミニコラム |
海が守る、私たちの未来 |
海がもたらすもう一つの恩恵、「ブルーカーボン」をご存知ですか?
これは、海洋生態系が二酸化炭素(CO₂)を吸収・貯留する能力のこと。
特に、アマモやマングローブ、海藻などの"海の植物"たちが大気中のCO₂を効率よく取り込み、地球温暖化の抑制に貢献しているのです。森林による「グリーンカーボン」は有名ですが、実はブルーカーボンの吸収効率は数倍にもなるといわれています。

現在、日本でもブルーカーボンの価値が見直されており、漁業や地域活性化との連携によって「海を守ることが地域を守る」取り組みが始まっています。
今後のサステナブルな社会づくりに欠かせないキーワード、それがブルーカーボン。
海とともに生きる未来、あなたも少し意識してみませんか?
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