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2025.12.26

  • ようこそ、機能性フィルムの世界へ!

Vol.02 機能性フィルム 耐寒性フィルムとは?

ようこそ、機能性フィルムの世界へ!

さて、第2回目を迎えた【ようこそ、機能性フィルムの世界へ!】の中では、勤続20年の営業部門マネージャーが、各種機能をわかりやすく説明してくれます。
配属されたばかりの、新入社員の中野君と一緒に学んでいきましょう。

耐寒性って何ですか?

  • また難しい顔してるわね、中野くん。今日は何と格闘してるの?

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  • あ、白石マネージャー。今日は試験で使うサンプルを恒温槽に入れるんですけど、耐寒性評価ってどんな意味なんだろうと思って…。フィルムって、冷やすと硬くなるのは感覚的に分かりますけど、それがどこまで耐えられるかってどう判断するんですか?

  • いい質問ね。じゃあ、今日のテーマは【耐寒性】にしましょう。

  • 実は耐熱性というのはよく耳にしますけど、「耐寒性(たいかんせい)」ってあまり聞いたことがなくて、、、お願いします!

  • まず、【耐熱性】っていうのは、高温環境でどれだけ性質が変化しないかの程度を示すものよね。逆に【耐寒性】というのは、低温環境でどれだけ性質が変化しないかってことよ、柔軟性の保ち具合や、割れずに機能を維持できるか、つまり寒さに強いフィルムの度合いを表すの。

  • 寒さで割れるって、本当にそんなことあるんですか?

  • あるのよ。たとえば−20℃くらいの冷凍倉庫で使う包装材。ポリエチレンならまだしも、ポリプロピレンやナイロンは温度が下がるとガラスのように脆くなることがあるの。

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  • そんなに変わるんですね…。常温では柔らかいのに。

  • それはガラス転移温度(Tg:Glass Transition Temperature)っていう性質が関係してるの。材料がゴムみたいに柔らかい状態から、ガラスみたいに固くなる境目の温度のことよ。高分子は温度を上げるとTg 付近でぐにゃっとなるから耐熱性が大きく変わる。逆に耐寒性は、Tg より温度を下げていくとどんどん分子が動かなくなってどんどんもろくなる。ぐにゃっとした枝は折れないけど、固い枝はぽきっと折れるイメージね。

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  • あ、材料力学で少し聞いたことがあります。ポリプロピレンはTgが高いから、寒さに弱いんですね?

  • そうそう。PEは‐100℃付近だけど、PPは‐10℃付近なの。だから、冷凍食品のパッケージなんかには、低温でも柔らかいポリエチレン系やエラストマー系を使うのが一般的。場合によっては、共押出で“寒さに強い層”を外側に配置するの。

  • なるほど、層構成で補うんですね。単一素材だけじゃ限界があるから。

  • そのとおり、多層フィルムは、まさに樹脂の得意分野を重ねる設計なの。
    外層で耐衝撃性を付与し、中間層にはバリア性や強度を持たせ、内層はシール性や耐寒性を有している。こうして機能を組み合わせていくのが多層フィルム設計の面白さなのよ。

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  • そう聞くと、まるでチームプレーみたいですね。

  • そうね。それぞれの層が役割を持って全体として性能を出す。だからこそ、どの層に何を求めるかを明確にしないといけないのよ。

  • 耐寒性を高めるには、具体的にどんな材料を使うんですか?

  • 代表的なのは直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)やメタロセン系PEね。結晶構造が細かくて、低温でも割れにくい。それから、EVA(エチレン酢酸ビニル共重合体)やエラストマーもよく使われるわ。

  • なるほど…。逆に、寒さで割れやすい素材は?

  • PP(ポリプロピレン)系、PA(ポリアミド)系、PS(ポリスチレン)系、COP(環状オレフィンポリマー)なんかは、どうしても脆くなりやすい。だけど、最近は耐寒改質剤を配合して、柔軟性を補う工夫も進んでいるの。

  • なるほど。材料の進化もあるんですね。

  • ええ。たとえば自動販売機のラベルなんかは、冬の屋外でも割れずに貼りついていなきゃいけない。だから、単なる“耐寒性”だけでなく、“接着層との相性”や“収縮挙動”も見る。評価って奥が深いのよ。

  • 温度って、こんなにフィルムの性質を変えるんですね…。ちょっと驚きました。

  • 温度は、材料の性格をはっきり見せる鏡みたいなものよ。熱で伸びるか、冷えて縮むか、それぞれの反応が“その材料らしさ”を示しているの。

  • 面白いなぁ。帯電防止のときも思いましたけど、フィルムって本当に生き物みたいですね。

  • そうね、四季が色濃く、南北に長い日本では、大きな温度変化に対応できる包材も一つの機能になると思うの。うまく材料を組み合わせた多層フィルムが生まれてくることを期待しましょう。

  • そうですね!環境の変化に敏感なところは、人間も同じですね。僕もこの会社で、熱い期待には柔軟に対応して、冷たい評価にはぽきっと折れないように頑張ります!

― 今日の研修レポート ―

◇フィルムは低温で分子の動きが鈍くなり、柔軟性を失って硬化・破損する場合がある。
 ガラス転移という現象がその原因。
◇耐寒性向上には、樹脂選定と構造設計が重要
◇冷凍食品包装や屋外用フィルムなど、−20℃以下でも性能を維持することが求められる。
◇割れないだけでなく、密着性・シール性の維持も重要。

●関連リンク
冷凍耐寒性・耐ピンホール性フィルム CS-H

 

※本コラムに掲載しているイラストの一部はAIを用いて作成しています。