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2026.01.30

  • 未来へのバトン

Vol.13 上場企業に迫るScope3開示義務。サプライヤーが今すべきCO₂削減とフィルム技術の進化

未来へのバトン

1. はじめに:脱炭素は"数値合わせ"ではない

世界が2050年カーボンニュートラルに向けて大きく舵を切る中、企業には環境への責任ある行動が求められています。 しかし、単に帳簿上の数値を合わせるだけでは本質的な解決にはなりません。 重要なのは、「ものづくり」の現場で、実質的なCO₂排出量をどう減らしていくかという"真(芯)の強さ"です。

四国化工では、フィルムメーカーとしての技術力と現場力を武器に、地道かつ大胆な削減活動を推進しています。 本稿では、上場企業に迫る「Scope3開示」の潮流と、私たちが製品技術を通じてどう貢献できるか、その現在地をご紹介します。


2. そもそも「Scope1・2・3」とは?

脱炭素を語る上で避けて通れないのが、国際的な排出量の算定基準である「Scope(スコープ)」という考え方です。企業活動によるCO₂排出量は、どこから発生したかによって以下の3つに分類されます。

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Scope1(直接排出): 自社での燃料使用(ボイラー・車両など)                                                            Scope2(間接排出): 他社から購入したエネルギーの使用(電力など)                                                   Scope3(その他間接排出): 原材料調達から製品廃棄まで、バリューチェーン全体の排出

サプライヤーのScope1・2 = お客様のScope3

ここで重要なのは、サプライチェーンはすべて繋がっているという事実です。 私たちサプライヤーが工場で排出する「Scope1・2」は、お客様(発注元)から見れば、仕入れた製品に紐づく「Scope3(カテゴリ1:購入した製品・サービス)」の一部としてカウントされます。

サプライチェーンはすべて繋がっています。四国化工の生産設備はエネルギーのほぼすべてを電力で賄っているため、私たちが電力の省エネ・再エネ化を徹底することは、自社の脱炭素化であると同時に、お客様の「Scope 3(カテゴリ1)」削減への直接的な貢献となります。

この責任を果たすため、四国化工では2030年度までにCO₂排出量を2019年度比で50%削減」という目標を掲げています。 すでに2024年度の実績で46.3%削減を達成しており、順調に脱炭素化が進んでいます。

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3. 迫る「Scope3」開示義務。サプライチェーンへの波及

そもそも、なぜ今、サプライヤーである私たちに脱炭素が求められているのでしょうか。 その背景には、急速に進む「情報の開示義務化」があります。

上場企業に課される「取引先の排出量」把握

現在、サステナビリティ基準委員会(SSBJ)での議論が進み、プライム市場上場企業などを対象に、早ければ2027年3月期以降、有価証券報告書等でのScope3を含むGHG排出量の開示が義務化される見通しとなっています。

これはつまり、お客様(上場企業)にとって、自社だけでなく「調達先(私たち)がどれだけCO₂を排出しているか」を把握し、開示しなければならない時代が到来したことを意味します。

「数値」の前に、まずは「実態」を良くする

こうした流れの中、四国化工では製品ごとの正確なCFP(カーボンフットプリント)算定体制の構築を急ピッチで進めています。 完全なデータ提供にはもう少しお時間をいただきますが、私たちは「算出を待つ間も、CO₂は出し続けている」という事実に目を向け、数値化に先駆けて「物理的な排出量削減」をすべく取り組んでいます。


4. 足元から変える。「Scope1・2」削減への本気の取り組み

お客様のScope3(カテゴリ1:購入した製品)を減らすために、まず私たちがすべきこと。 それは、自社工場からの排出(Scope1・2)を限りなくゼロに近づけることです。

2030年目標の達成へ向けて

四国化工の生産設備は、エネルギーの多くを「電力」で賄っています。 私たちは「2030年度までにCO₂排出量を2019年度比で50%削減」という目標を掲げ、すでに2024年度の実績で46.3%削減を達成しました。 私たちが省エネ・再エネ化を進めることは、そのまま「環境負荷の低いサプライヤー」としてお客様の脱炭素戦略に貢献することに繋がります。

■ モデル工場:西山第1工場の"実質ゼロ"への挑戦

当社の象徴的な取り組みが「西山第1工場」です。以下の施策により、同工場ではScope1・2におけるCO₂排出量「実質ゼロ」を実現しました。

 1)太陽光発電の導入: 工場屋根を最大限活用し、再エネ自給を推進

 2)CO₂フリー電力(再エネPlus+)への全面切替: 不足分も再エネ価値を付与した電力で100%カバー

 3)現場力を活かした地道な省エネ改善: 設備投資だけに頼らず、現場の知恵で無駄を省く


5. 「技術」で減らす。実質的なCO₂削減へのアプローチ

データ整備を進める一方で、私たちは「製品そのものの環境性能を上げる」という、メーカーとしての「芯」の強さで課題に挑んでいます。

【Reduce:薄くても、強い。「使用量」を減らす】

「INOViTA Leo」 で圧倒的薄肉化を実現! 

骨付き肉の包装において、ピンホール(穴あき)対策のためにフィルムを厚くするのは過去の話です。 当社は独自技術により、従来の半分以下の薄さ(80μm)でも、厚手品(200μm)を上回る強度を持つフィルムを開発しました。

  • プラスチック使用量の大幅削減: 物理的に材料を減らすことで、お客様のScope3(廃棄・輸送)を低減。

  • フードロス削減: 破袋を防ぎ、食品廃棄という無駄も防ぐ。

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【Recycle:再生材を"機能アップ材"へ】

「CANS SAKERU」 でリサイクルと機能の両立

「再生材は品質が落ちる」という常識を覆しました。 3層構造の中間層にあえて再生材を使用することで、CO₂削減だけでなく、手で真っ直ぐ切れる「直進カット性」という付加価値を生み出しました。 環境のために利便性を犠牲にしない、四国化工の設計思想です。

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          ※データは当社調べとなります。

【Biomass:クリーン性能 × 植物由来】

「APTCLEAN QN」でクリーン性とバイオマスの融合!

高度なクリーン環境が求められる分野でも、脱炭素は待ったなしです。 約65%が植物由来でありながら、高いクリーン性(低パーティクル・低アウトガス)を実現。 化石資源への依存度を下げ、お客様のグリーン調達を後押しします。

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詳細はこちら ➡  QN バイオマスクリーンフィルム


6. おわりに:確かな技術で、未来の開示に応える

Scope3開示義務化の流れは、今後ますます加速していきます。 四国化工では、将来的なデータ開示要請にスムーズにお応えできるよう、現在、算定ルールの整備とシステム構築に力を注いでいます。

しかし、数値はあくまで結果です。 私たちは、高機能と環境配慮を両立するフィルム開発を通じて、「結果としてCO₂が減る製品」を提供し続けることこそが、お客様に対する最大の誠意だと考えています。 技術と情熱で、お客様のサプライチェーンを「芯」から強くするパートナーであり続けます。

脱炭素は、一社だけが頑張っても達成できません。原料メーカー・ユーザー企業・流通・リサイクラー、すべてのパートナーとともに未来をつくる必要があります。四国化工は、「高機能 × 環境配慮」を両立するフィルム開発を通じて、お客様のScope3削減パートナーとして価値を提供し続けます。私たちはこれからも、技術と情熱で脱炭素社会を支え、次世代につながる未来づくりに貢献してまいります。

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※本コラムに掲載しているイラストの一部はAIを用いて作成しています。


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地球にやさしいミニコラム

鬼は外、福は内、鬼も内!?フードロスは?

もうすぐ節分。近年、恵方巻の「大量廃棄」が社会問題となっていますが、ここでもフィルム技術が活躍していることをご存知でしょうか?

最新のバリアフィルムは、食品の酸化や乾燥を防ぎ、「おいしい期間(賞味期限)」を数日単位で延ばすことができます。 つくりすぎない計画生産も重要ですが、「つくったものを捨てさせない」ことも、メーカーが担う重要なサステナビリティ。今年の節分は、食材を守る"見えない膜"にも思いを馳せてみてください。

(P.S.) 実は全国には、「鬼は内(鬼も内)」と唱える地域もあるそうです。 厄介者も、見方を変えれば福となる。「排除せずに活かす」。 そんな精神も、循環型社会には大切なのかもしれませんね。

 sdg_icon_12_ja_2.png赤鬼.png 節分.png 青鬼.pngsdg_icon_12_ja_2.png