2026.03.30
- ようこそ、機能性フィルムの世界へ!
Vol.03 機能性フィルム 酸素バリア性フィルムとは?
ようこそ、機能性フィルムの世界へ!
さて、第3回目を迎えた【ようこそ、機能性フィルムの世界へ!】の中では、
勤続20年の営業部門マネージャーが、各種機能をわかりやすく説明してくれます。
配属されたばかりの、新入社員の中野君と一緒に学んでいきましょう。
酸素バリア性とは?
白石マネージャー、午後から訪問する食品メーカー様への提案書、見ていただけますか?
今回は新商品の【香りを大切にした高級ソーセージ】の真空包装パックの案件です!お疲れ様。見せて……
うん、お客様からは『コストを抑えたいから、一番安いPE(ポリエチレン)の単層フィルムで作れないか』って要望があったのよね?
はい! でも、僕ははっきりと『PE単層では真空包装はおすすめできません』とお伝えしました。
あら、ちゃんと理由も説明できたの?
もちろんです!PEは水を通さないので液漏れは防げますが、実は『酸素』はザルのようにスースー通してしまうんですよね。
もしPE単層で真空パックを作っても、数日後には外から酸素が入り込んで、中身の食品が酸化したり傷んだりしてしまいます。
また今回大切にされている香りも逃げてしまうと考えました。ちゃんと基礎が身についてきたわね。目に見えない気体の通り抜けを防ぐ『ガスバリア性』、特に『酸素バリア性』の重要性をしっかり理解しているわね。
じゃあ、代わりに何を提案するの?はい! 真空包装の定番である『NY(ナイロン)』を使った多層フィルムです!
正解よ。NYはどうして真空包装に向いているのかしら?
ええと、NYは強靭で破れにくいからです! 真空パックって中の食品にギュッと密着するので、角が尖っているとフィルムが破れやすい(ピンホールが開く)じゃないですか。
NYはその物理的なストレスに耐えられるうえに、PEよりもずっと高い酸素バリア性を持っている頼れる存在です!素晴らしいわ。でも中野くん、今回の新商品は『賞味期限を大幅に延ばしつつ、ハーブやスパイスの香りも大切にするプレミアムライン』だってヒアリングシートに書いてあるわよ。
NYの酸素バリア性だけで足りるかしら?あっ……! そ、そこまでは考えていませんでした。
もっと強力なバリアが必要ってことですか?ええ。そこで登場するのが『EVOH(エチレン・ビニルアルコール共重合体)』よ。
これはまさに『酸素バリアのスペシャリスト』、プラスチックの中でもトップクラスの酸素バリア性を持っていて、絶対に酸化させたくない食品には欠かせない素材なの。じゃあ、そのEVOHの単層で作れば完璧ですね!
提案書、すぐ直します!ちょっと待ちなさい。
中野くん、EVOHには致命的な弱点があるのよ。何だか分かる?えっ? 最強のスペシャリストなのに弱点があるんですか?
EVOHは『水分(湿度)に弱い』の。
水分を吸ってしまうと、せっかくの酸素バリア性がガクッと落ちてしまうわ。ええっ!? 食品には水分が含まれているものも多いし、それじゃあ使えないじゃないですか!
だから『多層構造』にするのよ。水に強いけど酸素を通す【PE】、強靭性とバリア性を持った【NY】で酸素に強いけど水に弱い【EVOH】をサンドイッチのように両側から挟み込むの。
そうすれば、PEが水分を弾き、NYの強度も有し、EVOHが酸素をシャットアウトする『最強の盾』が完成するというわけ。さらに言えば最外層の【PBT】は保香性に優れた樹脂だから、今回の案件にはピッタリね。すごい……それぞれの素材の長所で弱点を補い合って、ひとつの完璧なフィルムを作っているんですね!なんだか感動しました!
ハイバリアフィルムは、他に長期保存が必要な乳製品やハム・ソーセージ、風味が重要な香辛料、酸化しやすいコーヒーやナッツ類などに使われることが多いの。
多層フィルムの設計はチームワークと同じよ。お客様が『何を』『どのくらいの期間』守りたいのかを正しく聞き出して、最適な樹脂の組み合わせを提案するのが私たち営業の腕の見せ所ね。はい! ただ『安いから』ではなく、中身を守るための理由をしっかり伝えてきます。
僕も知識をフル活用して、どんなトラブルも跳ね返す『最強のバリア営業マン』になります!
- ― 今日の研修レポート ー
◇ポリエチレンは水蒸気透過度に優れるが、酸素バリア性が低く強度に乏しい
◇ナイロンは酸素バリア性と強度に優れる
◇EVOHは酸素バリア性が非常に高いが、その性能は湿度に依存する
◇それぞれの特長を組み合わせることで、お客様の要求に応じた多層フィルムが設計できる●関連リンク
・ガスバリア性フィルム バリア7※本コラムに掲載しているイラストの一部はAIを用いて作成しています。
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