2026.07.21
- ようこそ、機能性フィルムの世界へ!
機能性フィルム 防臭フィルムとは?
ようこそ、機能性フィルムの世界へ!
さて、第5回目を迎えた【ようこそ、機能性フィルムの世界へ!】の中では勤続20年
の営業部門マネージャーが、各種機能をわかりやすく説明してくれます。 配属された
ばかりの、新入社員の中野君と一緒に学んでいきましょう。
この記事でわかること(3分で読めるポイント)
- 「消臭」と「防臭」は根本的な違い、なぜ災害・医療現場では防臭が必須なのか
- 防臭フィルムの中核素材「EVOH」とは何か、なぜ単独では使えないのか
- 多層フィルム設計がEVOHの弱点を補い、防臭を実現する仕組み
- 防臭機能が食品の「保香」「移り香防止」にも応用される理由
防臭フィルムって何ですか?
白石マネージャー、午後から訪問する防災用品メーカー様への提案書が仕上がりました! 今回は災害避難所で使う『水を使わないポータブルトイレ』の専用袋なので、とにかく『嫌なニオイを消し去ること』が最優先です!
お疲れ様。見せて……うん、避難所の衛生環境を守るという着眼点はバッチリね。でも中野くん、提案しているフィルムが『消臭剤を練り込んだ汎用フィルム』になっているけれど、これ、本当に大丈夫?
はい! フィルム表面に消臭成分を練り込んで、ニオイ分子を化学的に分解・吸着させれば、コストを抑えつつ空間を快適にできると考えましたが?
中野くん。第1回の『帯電防止』の時に学んだことを思い出して。薬剤(界面活性剤)を練り込むタイプには、環境による効果のブレや『限界』があったわよね? 壁紙のような一般的な『消臭』と、災害用トイレや医療廃棄物向けの『防臭』は、求められる次元が全く違うのよ。
限界……!? どういうことですか?
消臭剤による化学反応や物理吸着には『飽和点』があるの。スポンジが水を吸えなくなるのと同じで、吸着できる限界を超えたり、時間が経ったりすると、それ以上のニオイは素通りしてしまう。災害時、ゴミ収集が何日も来ない過酷な状況下では、ニオイを『吸収する(消臭)』というアプローチではいずれ限界を迎えるわ。
ええっ!? せっかくフィルムで包んでも、限界を超えたらニオイが漏れ出してしまうってことですか!?
その通りよ。だから絶対条件になるのが、ニオイを『遮断する(防臭)』という考え方。限界のあるスポンジ(消臭)ではなく、鉄壁のシールド(防臭)で包み込むの。中野くん、第3回の『ガスバリア性』の時に学んだ、目に見えない気体の分子をせき止める最強の樹脂を覚えている?」
あっ! 酸素も通さない最強のバリア樹脂、『EVOH』ですね! 分子の結びつきが強固で、気体が通り抜ける隙間がほとんど無い。それならニオイ成分も物理的にシャットアウトできますね! じゃあ、そのEVOHの単層フィルムで提案書を直します!
ちょっと待ちなさい。EVOHの『致命的な弱点』も一緒に学んだはずよ?
ええと……あっ! 『水分に弱い』! 水分を吸うとバリア性がガクッと落ち
てしまうんでした! 今回包むのは排泄物……思い切り水分を含んでいます!その通り。だから第2回の『耐寒性』でも話したように、単一素材ではなく『多層フィルム』にするのよ。内側には水分を弾く特殊なポリエチレン(特殊L-LDPE)を配置する。この素材は熱で溶けやすく、万が一汚物がシール部分に付着していても、熱で汚れを押し退けて密着する『夾雑物シール性』を持っているの。そして中心にEVOHを挟み込み、外側は強靭なナイロンなどで守る。この完璧なチームワークがあって初めて、ニオイを漏らさない真の防臭袋が完成するのよ。
…! 過去の研修で学んだ『物理的なバリア』『水への弱点』『多層による機能の補完』、すべてがここに繋がっていたんですね! 表面的な『消臭』ではなく、多層構造による『防臭(遮断)』を提案してきます!
ええ、頼むわね。午後からのプレゼン、中野くん自身のミスや準備不足という『臭いものに蓋』をしないように、透明性の高い説明をしてきなさい
- まとめ
― 今日の研修レポート ー
・消臭(成分の分解・吸着)」には限界があり、過酷な環境ではニオイが漏れる原因になる。
・災害医療や高衛生環境においては、EVOH樹脂の強固な分子構造を利用した「防臭(物理的な遮断)」
が機能を発揮する。・EVOHは水分に弱いため、水気を含むものを包装する場合は、耐水性・夾雑物シール性に優れた層
(L-LDPE)と組み合わせた多層フィルム設計が必要不可欠である。・防臭機能は、食品分野における「保香」や「移り香防止」としても重要な役割を果たす。
― 防臭フィルム Q&A ー
防臭フィルム Q&A お客様からよく寄せられる、防臭フィルムに関する疑問にお答えします!
Q1:強力なバリアフィルムは硬くて、シール(熱圧着)しにくくなったり、水分や汚れが付いていると隙間ができたりしませんか?
A:バリア性の高い層(EVOHやナイロン)だけでは熱で溶着しにくい特性があります。しかし、当社ではフィルムの最内層に、特殊な直鎖状低密度ポリエチレンを組み合わせる共押出し技術を用いています。これにより、シール部分に液体や汚れが付着していても、熱で押し退けて確実に密閉する「夾雑物シール性」を実現しています。
Q2:ニオイ分子の透過を「完全にゼロ」にすることはできるのですか?
A: プラスチックである以上、厳密な意味で透過を「永久に完全なゼロ」にし続けることは物理的に困難です。しかし、密度の高いEVOH樹脂を中心とした多層構造を採用し、最適な厚みで設計することで、人間の嗅覚の検知限界を下回る極限レベルまでニオイの漏洩をブロックし続けることが可能です。
Q3:災害用トイレや医療分野以外でも、防臭フィルムが活躍する分野はありますか?
A: 食品包装の分野で高く評価されています。外にニオイを漏らさない(防臭)ということは、同時に「中の良い香りを外に逃がさない(保香)」、そして「外のニオイを中に入れない(移り香防止)」ということでもあります。生ハムやチーズなど、風味が命となる食品の長期保存に欠かせない存在です。
― 弊社関連製品はこちら ー
・CANS バリア7(高い酸素バリア性・高強度・防臭をあわせ持った、食品の長期保存、日持ち延長に最適な7層フィルム)
※本コラムに掲載しているイラストの一部はAIを用いて作成しています。
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