2023.10.17
- 共押出多層フィルム製造現場
Vol.03 共押出の基礎 樹脂の機能(ゆっくり解説動画有)
密着24時!共押出多層フィルム製造現場

さて、第3回目、生まれも育ちも香川県東かがわ市の優しい現場リーダーが20年の経験を基に指導してくれます。今回は共押出多層フィルムによく使われる樹脂について、配属された新入社員と共に学んでいきましょう。
共押出によく使われる原料
お疲れ様です、今日は毎日使っている樹脂について少し勉強しましょう。
実は記号のような品番を手順書通りに取扱っていただけで、それぞれの違いを理解していませんでした。
確かに見た目はほとんど同じですよね、しかし特徴は様々です。今日は食品用フィルムを取り上げて、多用される強い樹脂、溶けやすい樹脂、くっつける樹脂、の3つを紹介します。まず強い樹脂ですが、四国化工フィルムの強度の胆はナイロンという樹脂です。
その名前はよく耳にしますし、入社前から知っている単語です。
そうですね、ナイロンは有名な言葉ですが、実はもともと商品名なのです。正式にはポリアミドと呼ぶのですが、あまりにもナイロンという言葉が有名になりそちらが主流になっています。
商品名が一般名・・・ホッチキスやセロテープみたいなものですね。ナイロンはなぜ強いのでしょうか?
樹脂の分子構造を紐解くことになりますが、汎用の樹脂に比べて樹脂同士がより強く引き合っているという表現が近いです。キーワードは水素結合です。また強度だけでなく、食品を腐敗から守るガスバリア性も持っています。
強度・バリア性共に、食品包材として有利な特性があるのですね。
続いて、溶けやすい樹脂はポリエチレンです。生産量では、ポリプロピレンと共に、非常に汎用性の高い樹脂です。フィルムだけでなく様々な樹脂製品に使われています。今回は溶けやすい点に注目していますが、これは四国化工のフィルムが包材に広く使われていることと繋がります。
包材って・・・、袋のようなものでしょうか?
そうです、袋は内容物を封入して密閉する事で、初めて袋としての機能を発揮します。ですので、密閉の際にはシールしなくてはなりません。シールには熱がよく使われますが、その時に溶けやすい特性が役に立ちます、イメージが湧きますか?
加熱した時に溶けやすい点が使いやすいということでしょうか。
その通り、社内加工はもちろん、お客様でのシールも考慮しないといけません。最後の、くっつける樹脂ですが、これは共押出多層フィルムには欠かせません。
糊のようなイメージでしょうか。
役割で言えばそうですね、本来くっつかないナイロンとポリエチレンを接着させるために、どちらにも接着する特殊な樹脂を間に挟むことで共押出多層フィルムが完成します。これを接着性樹脂と読んでいます。
確かにウチにはなくてはならない機能ですね。
他にも様々な機能を付与する、各種添加剤や、色味を与える顔料など、便利な樹脂材料も多く扱っています、それらは配合条件や混合量などが細かく設定され、各社のノウハウとして受け継がれています。
多層フィルムの機能は、それぞれの樹脂が持つ特性が基になっているのですね。自分自身も色々なスキルを高めて活躍できるよう頑張ります。
多層フィルムのように、マルチな人材に育ってくださいね。
- ― 今日の研修レポート ー
樹脂加工用の原料ペレットは、粒状で乳白色、外観上の違いはほぼない。
フィルムの強度の胆となるのはナイロンという樹脂。ガスバリア性も有しているので真空包装用袋に使用される。
ポリエチレンはヒートシールに向いており、多層フィルムの内面に多用される。
接着性樹脂は多層フィルムをつくるためには欠かせない糊のような役割である。
添加剤は様々な種類があり、樹脂だけでは実現できない機能を付与できる。
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