2023.11.30
- 共押出多層フィルム製造現場
Vol.04 共押出の基礎 添加剤の役割(ゆっくり解説動画有)
密着24時!共押出多層フィルム製造現場

さて、第4回目、生まれも育ちも香川県東かがわ市の優しい現場リーダーが20年の経験を基に指導してくれます。今回は前回登場した共押出多層フィルムによく使われる樹脂を補助する役割の添加剤について配属された新入社員と共に学んでいきましょう。
Vol.04 真空包装用フィルムに使われる添加剤
今日は共押出多層フィルムの中でも、食品向けの真空包装用途に多用される樹脂を補助する添加剤を紹介します。まず包装材や袋に必要な機能とは何が思い浮かびますか?
内容物を守ってくれること・・・食品であれば腐らせないことでしょうか。
そうですね、第一に内容物の保護があります。他に使いやすいこと、表示されている情報提供が適切であること、販売促進に繋がること、もっというと、開封性・物流がエコ・安全性・機械適性・コスト・法律を守っている、などもあります。最近は、廃棄や環境対応なども重要な項目となっています。
袋1つにそこまでの機能が詰め込まれているのですね、正直驚きました。
それら全てを意識するには、全社員の努力が必要ですが、私たち工場では基本的な内容物の保護と使いやすさを実現することが第一だと捉えましょう。
内容物の保護は前回学んだ樹脂の特性で満たせそうですが、使いやすさの実現となるとまた違う工夫が必要な感じがします。
そこが今日のポイントで、登場するのが添加剤です。袋が使いやすい、とはどういったことが思い当たりますか?
まず開けやすいことです、レジ横の薄い袋が特に開けにくさを感じます。
そうですね、歳を取ると尚更です。しかしこれは潤いを失ったわけではなくて、交感神経が【触れる】という刺激に対して、鈍感になっているからだそうですよ、って、話がそれましたが、フィルムの口を開けやすくするには、物理的に凹凸を付与することと、表面を滑りやすくすることの合わせ技を使うことが多いです。
どちらかだけではいけないのですか?
そうですね、凹凸があっても滑らなければ開きにくいです、またツルツルなだけでも、凹凸がなければ密着して開いてくれません。
確かに、一度開けばいいのですが、最初に開けるのが大変です。
凹凸をつける役割の成分は、アンチブロッキング剤と呼び、滑りやすくする成分はスリップ剤と呼んでいます。さらに、静電気で口が開かない現象を抑えるために、帯電防止機能を付与するのも添加剤の役割です。
開きやすくするためだけに、こんなにも色々な工夫がなされているのですね。
そうなんです、快適に安心して使って頂くために、出来る限りの工夫を施しています。他にも着色・消臭・抗菌・防曇・紫外線カットなどのフィルム機能付与や、加工性や生産性に寄与する酸化防止や加工助剤など、数えきれないほどの添加剤の種類があります。
樹脂だけでは出せない便利な機能が添加剤には期待されているのですね。
もちろん、それら全ては法規制に則って、安全な成分で構成されています。安全が確認された食品包装で使っても良いものだけを使用していますので心配はいりませんよ。
見た目だけでは多層フィルムかどうかも分かりませんが、それ以外にも機能を付与する為に、見えない工夫がなされていることがよく分かりました。
かんじんなことほど目に見えないんだよ。
- ― 今日の研修レポート ー
各種添加剤は、本来樹脂が持ち得ない特性・機能を付与する為の材料。
例えば開口性を実現するには、アンチブロッキング剤・スリップ剤・帯電防止剤が活躍。
顔料を使えば色がついて、識別や異物混入時の発見しやすさにつながる。
他数えきれない特性を持った添加剤が世の中には存在する。
それら全ては法規制の下で安全性が認められており、使用上問題の無い事が証明されている。
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